「長久手市美しいまちづくり条例」の観点から「(仮称)ロフティ長久手久保山 新築工事」高層マンション建築計画に対して地域住民ができること

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「長久手市美しいまちづくり条例」の観点から「(仮称)ロフティ長久手久保山 新築工事」高層マンション建築計画に対して地域住民ができること

地域住民の意見を考慮せず開発事業協定を締結。条例主体である住民の意見を反映するべきだ。

「美しいまちづくり条例」では、高さ10メートルを超える中高層建築物の建設に際して、市との開発協議が義務付けられています。情報公開された資料によると、既に令和7年2月12日に事業者である「株式会社富士不動産」と「長久手市長」は開発協議を締結していることがわかりましたが、協定書の内容からは驚くべき長久手市の行政の実態が明らかになりました。条例の趣旨からは、条例の主体である住民の意見が考慮されるべきなのですが、事業者が3日間で訪問し住居者と面談したのは周辺17戸のみだけでした。住民からは「日影の影響が心配」「建物の高さを3階にしてほしい」などの意見があったにもかかわらず、その意見は考慮されることなく開発協議は締結されたのです。

長久手市長は、第7条の2に基づき、開発事業に対して適切な助言又は指導を行うことができる立場にあります。

「美しいまちづくり条例」は、住民の責務として「住民は、美しいまちづくりに主体的に取り組むとともに、市の実施する美しいまちづくりに関する施策に協力しなければならない。」を定めていますが、条例で住民に責務だけを負わせることがあって良いのでしょうか。

(目的)
第1条 この条例は、長久手市の環境を活かした魅力あるまちづくりのために
は、地域が一体となって良好な環境を守り、育てていくことが大切であると
の認識のもとに、魅力ある景観の保全と創出、良好な住環境の形成、みどり
の推進及び環境美化の推進に関する基本的な事項を定め、住民、事業者及び
市が協働して取り組むことにより、誰もが住みやすい美しいまちを実現する
ことを目的とする。

■ 開発協議締結後に住民ができること

第1回住民説明会の説明によると、令和7年4月15日時点での状況は「開発協議締結済み」「建築確認前」です。

1.協議内容の情報開示請求

• 開発協議が締結されている場合、その内容(協定書、協議記録、提出された資料など)を行政文書として情報公開請求できます。
• 協議の範囲・条件・景観配慮事項・住民説明の有無などを確認できます。

2.景観法・条例の手続状況を確認

• 景観法第16条の届出(高さ10m超の建築物が対象)が済んでいるか、市に確認できます。
• まだ景観審査前であれば、景観審議会への付議を求める働きかけが可能です。

3.建築確認申請の進捗確認

• 建築確認がまだ提出・受理されていない場合、住民側の働きかけで市が指導を強めたり、住環境への配慮を再度求めることができます。
• 確認済証が出てしまうと、市や住民が計画を止めることは原則できませんが、未了であれば交渉余地ありです。
令和7年4月15日時点での状況は「建築確認」は未了です。

4.市議会・議員に説明責任を求める

    • 市長が開発協議に同意した責任、景観や住民環境の軽視について議会質問や請願を通じて追及することができます。
    • 「市の手続きに不備はなかったか」「住民説明が十分か」などを争点にできます。

    5.法的対応(まちづくり条例・景観条例違反など)

    • 条例違反があると判断されれば、行政訴訟や建築差止請求を検討できます。(ただしハードルは高く、専門家の助言が必須)
    • 例:景観条例違反、住民説明未実施、まちづくり協定に反する設計など。

    6.住民説明会の開催要求

    • 「美しいまちづくり条例」や都市計画制度に基づき、住民説明が不十分である場合は再説明の機会を市に求めることができます。
    • また、住民主体での「意見交換会」や「学習会」を開いて、地域の意思を再結集することも重要です。